【R-Law】番外編 日本国憲法の平和主義を考えるアンケート

憲法記念日に、安全・安心な社会のありがたさが身に染みる今こそ、憲法上の平和主義について、考えてみたいと思いました。

  • 日本はあらゆる戦争を放棄しているのでしょうか?
  • 今の世の中、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼(前文)」することが、本当にできるのでしょうか。
    戦争と武力の行使は、「国際紛争を解決する手段としては、永久に放棄(9条1項)」し、その目的を達するため、「戦力は、これを保持しない(9条2項)」のに、自衛隊は憲法違反ではないのでしょうか。
  • 世界平和に向けて日本はどのような役割を担うことができるのでしょうか。

憲法記念日後になりましたが、憲法上の平和主義を考えるアンケートフォームを公開しました。

+をクリックして表示される情報を覧いただくことで、憲法になじみのない方にも憲法9条について自分で考えてみることができるようになっています。よろしければオンラインアンケートへも回答をお寄せください。

アンケートの集計結果は、こちらのホームページ上でご報告し、まとまった回答をいただけた際には、衆議院憲法調査会HPの意見窓口「憲法のひろば」への意見提出もできたらと考えています。
よろしくお願いいたします。

オンラインアンケートへの回答はアイコンをクリックして表示されるフォームからお願いします。

Q1 現在の世界情勢をみたとき、憲法前文中の「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持」することは可能と思いますか?
1.1 前文 抜粋
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
1.2 前文も日本国憲法の一部
  • 前文は、憲法を制定する目的を述べるとともに、憲法の基本原理、なかでも国民主権と平和主義の2つの原理に詳しくに言及している。
  • 1条以下の条項と同様、改正には国民投票(憲法96条の手続き)が必要
  • 前文は、憲法の基本原理を唱っていて、各条項の解釈基準になっている
1.3 重要判例 砂川事件 最高裁判決 1959(昭和34)年12月16日
                
判決文より抜粋
すなわち、われら日本国民は、憲法九条二項により、同条項にいわゆる戦力は保持しないけれども、これによつて生ずるわが国の防衛力の不足は、これを憲法前文にいわゆる平和を愛好する諸国民の公正と信義に信頼することによつて補ない、もつてわれらの安全と生存を保持しようと決意したのである。
1.4 自民党 日本国憲法改正草案Q&A 2013(平成25)年10月
                 
前文を改めた理由 抜粋
特に問題なのは、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」という部分です。これは、ユートピア的発想による自衛権の放棄にほかなりません。
Q2 憲法9条は改正すべきと思いますが?
2.1 憲法第9条 条文
 
戦争の放棄と戦力及び交戦権の否認
第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
2.2 解釈・意見
 
2.2.1 池上彰 (2015) 「超訳 日本国憲法」 新潮新書 より引用
憲法9条は自衛権を禁じていない、というのが政府の解釈
 憲法9条は、自衛権の行使以外の武力行使を禁じているのであって、自衛権は禁止していない、自衛のための「必要最小限度の実力」を保有することは憲法9条に違反しない。
 これが政府の解釈です。この解釈を裏付ける条文が、第9条第2項の「前項の目的を達するため」という文章です。前項は、「国権の発動たる戦争」と「武力による威嚇又は武力の行使」を「国際紛争を解決する手段」として放棄したのであり、そのためには戦力を持たないと宣言しているが、自衛のための力まで放棄したわけではない、というわけです。
この「前項の目的を達するため」という文章は、憲法に関する国会審議の中で付けくわえられました。1946年6月に提出された憲法改正草案にはなかった文章なのです。

草案段階では、吉田首相は自衛権まで含めた戦争放棄を考えていた
 政府の草案が提出されたとき、吉田茂首相は、自衛権まで含めての戦争放棄を考えていました。このときの国会審議で、共産党の野坂参三議員が、「戦争には侵略のための戦争と、侵略された国が自国を守る防衛のための正しい戦争があるので、戦争一般を放棄するのではなく、侵略戦争だけを放棄するべきではないか」と質問したのに対し、吉田首相は、「近年の戦争の多くは国家を防衛するためという名目で行われているので、正当防衛権を認めることは戦争を誘発することになる」と答弁しているからです。

2.2.2 日本国憲法草案 1946(昭和21)年4月17日 と 衆議院修正1946(昭和21)年8月24日
内閣憲法調査会における芦田氏の第9条修正に関する発言要旨
……第2項の冒頭に「前項の目的を達するため」という辞句を挿入することにより、原案では無条件に戦力を保有しないとあったものが、一定の条件の下に武力を持たないことになる。日本は無条件に武力を捨てるのではない。……
これに対し、政府は貴族院の審議、枢密院の審議を通じ、原案と趣旨において差異はないものと説明している。

憲法改正草案に関する想定問答
法制局は、枢密院と帝国議会での審議に備えて想定問答を作成した。そこでは、第9条は全体として侵略、自衛を問わず、すべての戦争を放棄するが、「自衛権」に基づく「緊急避難」ないし「正当防衛」的行動までなし得ないわけではないと記されていた。

2.2.3 重要判例 砂川事件 最高裁判決 1959(昭和34)年12月16日
判決文抜粋

  •  いわゆる戦争を放棄し、いわゆる戦力の保持を禁止しているのであるが、しかしもちろんこれによりわが国が主権国として持つ固有の自衛権は何ら否定されたものではなく、わが憲法の平和主義は決して無防備、無抵抗を定めたものではない
  •  自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうることは、国家固有の権能の行使として当然のこと
  • 同条項(9条2項)がその保持を禁止した戦力とは、わが国がその主体となつてこれに指揮権、管理権を行使し得る戦力をいうもの

2.2.4 衆議院憲法調査会報告書 2005(平成17)年4月15日
憲法と現実との乖離を憲法解釈により説明付けることの是非(抜粋)
●憲法解釈により説明付けることに批判的な意見
a 正面からの憲法論議を避け、その場しのぎの憲法解釈で既成事実を積み重ねる政府のやり方は、憲法の空洞化、形骸化を招くものであり、ひいては国民の憲法に対する信頼を損ねるものである。
b 現行憲法の中で社会情勢等と照らし合わせた場合に対応できなくなっている部分については、度重なる政府見解や内閣法制局による有権解釈でしのいできたが、解釈の多用は憲法本来の安定性を減じることになりかねない。
c 憲法解釈を積極的に変えていった場合、いずれ憲法自体の法としての権威を失わせるのではないか。
d 内閣法制局の恣意的な憲法解釈による既成事実の積上げが戦後一貫して行われてきたが、このようなことは不当であり、あってはならない。
f 解釈によって憲法を現実に合わせてきたやり方は、もう限界が来ており、そのために日本の国家意思が国際社会からも見えなくなってしまっている。

●憲法解釈により説明付けることに肯定的な意見
a 憲法が不磨の大典ではなく、改正手続を有しているのだから必要な時には改正がなされるべきであるとしても、その最高法規性、根本規範性からして、その解釈には一定の幅があってしかるべきである。
b 憲法は、その運用と解釈において、常に現実との緊張関係をはらむものである。
c 内閣法制局の見解を変えるという点では賛成だが、それは 9 条の正しい意味での解釈をしてほしいという立場である。

乖離の解消方法(抜粋)
●現実に合わせて憲法を改正すべきであるとする意見
a 憲法制定時から現時点に至る社会の大きな変化により憲法と現実との間に乖離が生まれている部分もあり、また、憲法の運用によって乖離が生じている部分もある。憲法を丁寧に運用していくことが必要な部分もあるが、現実社会と乖離し、憲法を改正しなければならない部分もある。
b 解釈改憲の積重ねにより国際情勢に対応してきた結果、憲法規定と解釈運用との乖離が顕著になっており、法治主義の原則に照らし問題がある。憲法解釈は政治家としての責任において示すものであり、憲法規定と現実との乖離が顕著となった場合には、憲法改正の是非を問うのが政治のあるべき姿である。
d 本来は憲法に合わせて政治を行うべきであるが、それが難しい場合には、憲法を改正すべきである。現在の日本のように解釈改憲で対応するのではなく、条文自体の改正という手法をとるべきであり、その方が諸外国にとっても分かりやすい。
e 憲法規定を個別に検討し、国際情勢の変化や権利観念の進展などにより現実に合わなくなってきた部分を直していくべきである。
f 国際社会における日本の責任と役割が増大し、国際安全保障上、責任ある態度をとらなければならなくなった。このため、自衛隊の海外における活動が行われるようになったが、隊員の憲法上の地位等が付与されないままでの派遣となっており、9 条と国際社会の現実とが乖離したまま、現行憲法下で自衛隊の海外派遣を実施している今日の防衛政策が、国際情勢の変化を知る国民に対する説得力を欠き、違和感を覚えるものとなっている。

●現実を憲法に合わせて是正していくべきであるとする意見
a 憲法に矛盾した実情が作り出されたため、憲法と現実との間に乖離が生じた。この乖離の解消方法としては、法の支配の理念に即して、現実を憲法に適合するように是正すべきである。
b 改憲論を見ると、憲法に即して現状を是正していくのではなく、むしろ憲法に違反した事実を先行させ、それに合わせて憲法を変えるという側面がある。為政者が解釈を広げていけばいくほど憲法の形骸化が進む。憲法に違反する事実に即して憲法を変えることは、改悪としか言いようがない。
c 憲法の法体系と安全保障の法体系という二つの法体系が存在する等、憲法の原則との乖離が起きている。9 条に反して自衛隊が設置され、海外で活動することにより、9 条との関係は極限状態となっている。憲法の原則に現実を引き寄せること、すなわち現状の政治の改革が憲法を生かす途である。

(参考人等の発言)
・日本が国際社会の一員として生きていること、今後も生きていくことを考えると、この憲法も完全ではなく、特に9 条に極めて非現実的な要素がある。残念ながら国連憲章は当初の理想どおりには運用されておらず、9 条の戦争放棄は単なる宣言に終わっている。このような一方的な戦争放棄に対して、何らの国際社会における保障もなく、それを尊重する環境もない。(ペマ・ギャルポ公述人)
・憲法と現実との乖離が大きい場合には何らかの方法でそれを解消しなければならない。一番いい方法は憲法改正をすることであるが、非常に厳重な改正手続が現在の日本国憲法には定められているためそこに到達してこなかったというのが今までの状況であろう。(津野修参考人)
・本来、法は現実との乖離があって当然であり、もし法と現実とが完全に一致しているのであれば、法には存在理由はない。法は、現実との乖離を本質的要素とするが、それにも限度がある。憲法と現実の距離があまりに広がって、誰の目にも憲法と異なる現実の状態が続くと憲法に対する国民の広範な冷笑主義が生じてくる。1990 年代頃から、現憲法がいわば危険水域に入りつつあるという認識を持っている。(大沼保昭参考人)

2.2.5 立憲民主党 2018年7月19日発表
いわゆる安全保障法制について
日本国憲法9条は、平和主義の理念に基づき、個別的自衛権の行使を容認する一方、日本が攻撃されていない場合の集団的自衛権行使は認めていない。この解釈は、自衛権行使の限界が明確で、内容的にも適切なものである。また、この解釈は、政府みずからが幾多の国会答弁などを通じて積み重ね、規範性を持つまで定着したものである(いわゆる47年見解。巻末参照)。
集団的自衛権の一部の行使を容認した閣議決定及び安全保障法制は、憲法違反であり、憲法によって制約される当事者である内閣が、みずから積み重ねてきた解釈を論理的整合性なく変更するものであり、立憲主義に反する。

いわゆる自衛隊加憲論について
現行の憲法9条を残し、自衛隊を明記する規定を追加することには、以下の理由により反対する。
1 「後法は前法に優越する」という法解釈の基本原則により、9条1項2項の規定が空文化する注1。この場合、自衛隊の権限は法律に委ねられ、憲法上は、いわゆるフルスペックの集団的自衛権行使が可能となりかねない。これでは、専守防衛を旨とした平和主義という日本国憲法の基本原理が覆る。
2 現在の安全保障法制を前提に自衛隊を明記すれば、少なくとも集団的自衛権の一部行使容認を追認することになる。集団的自衛権の行使要件注2は、広範かつ曖昧であり、専守防衛を旨とした平和主義という日本国憲法の基本原理に反する。
3 権力が立憲主義に反しても、事後的に追認することで正当化される前例となり、権力を拘束するという立憲主義そのものが空洞化する。

注1 従前の解釈を維持しようとするならば、明確かつ詳細にそれを明記する必要がある。これは相当大部かつ厳格な規定が必要となる。また、その際には、集団的自衛権一部行使容認という立憲主義違反について、容認する規定とするのか、否定する規定とするのか、明確にされなければならない。
注2 我が国に対する武力攻撃が発生していないにもかかわらず、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」という要件
Q3 憲法9条を改正する場合、自衛隊を明記する規定を追加すべきと考えますか?
Q4 憲法9条を改正する場合、いずれの改正方針があなたの考えに最も近いですか?
①集団的自衛権は認めないが、個別的自衛権(日本が攻められたときに、日本を守る権利)を保持する規定を追加。
②個別的自衛権・集団的自衛権(外国が攻められたときに、外国を守る権利)いずれも保持する規定を追加
③9条2項の「前項の目的を達するため」を削除し、自衛権まで含めて戦争を放棄。
④その他
Q5 Q4でその他を選択された場合、あなたが考える改正方針を教えてください。
参考文献
1. 楾大樹 (2016) 檻の中ノライオン かもがわ出版
2. 池上彰 (2015) 「超訳 日本国憲法」 新潮新書
3. 工藤達郎・畑尻剛・橋本基弘 (2011) 「憲法 第4版」不磨書房
4. 電子展示会「日本国憲法の誕生」https://www.ndl.go.jp/constitution/index.html  (閲覧日:令和2年5月3日)
5. 砂川事件 最決昭和34年12月16日裁判所HP参照 (昭和34年(あ)第710号) http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/816/055816_hanrei.pdf
6. 自民党 憲法改正推進部 (2012) 「日本国憲法改正草案」http://constitution.jimin.jp/document/draft/ (閲覧日:令和2年5月3日)
7. 日本維新の会 (2016)「憲法改正原案」
https://o-ishin.jp/news/2017/images/90da581ba24723f77027257436ab13c1cec1a1ed.pdf  (閲覧日:令和2年5月3日)
8. 立憲民主党 (2018)「憲法に関する考え方」https://cdp-japan.jp/policy/constitution  (閲覧日:令和2年5月3日)
9. 衆議院憲法審査会 (2005)「衆議院憲法調査会報告書」 平成17年4月15日提出
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kenpou.nsf/html/kenpou/report.htm
資料1 憲法草案・現行憲法・自民党改正案の対比
日本国憲法草案
1946(昭和21)年4月17日発表
日本国憲法 自民党 日本国憲法改正草案
2012(平成24)年4月27日発表
前文
日本国民は、国会における正当に選挙された代表者を通じて、我ら自身と子孫のために、諸国民との間に平和的協力を成立させ、日本国全土にわたつて自由の福祉を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が発生しないやうにすることを決意し、ここに国民の総意が至高なものであることを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の崇高な信託によるものであり、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行ひ、その利益は国民がこれを受けるものであつて、これは人類普遍の原理であり、この憲法は、この原理に基くものである。我らは、この憲法に反する一切の法令と詔勅を廃止する。
日本国民は、常に平和を念願し、人間相互の関係を支配する高遠な理想を深く自覚するものであつて、我らの安全と生存をあげて、平和を愛する世界の諸国民の公正と信義に委ねようと決意した。我らは、平和を維持し、専制と隷従と圧迫と偏狭を地上から永遠に払拭しようと努めてゐる国際社会に伍して、名誉ある地位を占めたいものと思ふ。我らは、すべての国の国民がひとしく恐怖と欠乏から解放され、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
我らは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならぬのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであると信ずる。この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉に懸け、全力をあげてこの高遠な主義と目的を達成することを誓ふ。
前文
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。
前文
日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴いただく国家であって、国民主権の下、立法、行政及び司法の三権分立に基づいて統治される。
我が国は、先の大戦による荒廃や幾多の大災害を乗り越えて発展し、今や国際社会において重要な地位を占めており、平和主義の下、諸外国との友好関係を増進し、世界の平和と繁栄に貢献する。
日本国民は、国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り、基本的人権を尊重するとともに、和を尊び、家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する。
我々は、自由と規律を重んじ、美しい国土と自然環境を守りつつ、教育や科学技術を振興し、活力ある経済活動を通じて国を成長させる。
日本国民は、良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため、ここに、この憲法を制定する。
第九条 国の主権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、他国との間の紛争の解決の手段としては、永久にこれを抛棄する。
2 陸海空軍その他の戦力の保持は、許されない。国の交戦権は、認められない。
第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動としての戦争を放棄し、武力による威嚇及び武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては用いない。
2 前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない。
(国防軍)
第九条の二 我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。
2 国防軍は、前項の規定による任務を遂行する際は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。
3 国防軍は、第一項に規定する任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。
4 前二項に定めるもののほか、国防軍の組織、統制及び機密の保持に関する事項は、法律で定める。
5 国防軍に属する軍人その他の公務員がその職務の実施に伴う罪又は国防軍の機密に関する罪を犯した場合の裁判を行うため、法律の定めるところにより、国防軍に審判所を置く。この場合においては、被告人が裁判所へ上訴する権利は、保障されなければならない。
(領土等の保全等)
第九条の三 国は、主権と独立を守るため、国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し、その資源を確保しなければならない。

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